判例の紹介
詐欺商法
社債やレンタルオフィス等を利用した投資詐欺事件
仙台高裁 平成22年12月17日判決
原審では社債券発行会社、販売元の投資事業有限責任組合等及び勧誘を行った第三者と共謀ならびに社債券の無価値性を疎明が不十分として認めなかった。
高裁では原審の判決を破棄し、振込先であった販売元名義の預金口座への仮差押を認めた事案。
商品CFD取引
口座開設申込書から適合性原則違反
東京高裁 平成23年1月20日判決
商品CFD取引で被害者が亡くなってしまった事案。口座開設申込書などの書証から適合性原則違反が明白にあるとして、
業者および取締役・従業員に対して損害賠償を認容した下級審を指示した事案。
未公開株
未公開株の発行会社も不法行為及び会社法の責任
東京地裁 平成23年1月27日判決
自社株発行型の未公開株に商法について、会社側での販売が正当なものであることを立証しない限り、正当な株価であることを認められない。
顧客がこれを正当と誤認するようなことを前提とした詐欺商法であると推認できるとして、発行会社や役員らに対して、不法行為や会社法の責任を認めた事案
未公開株商法の道具提供でも共同不法行為責任
東京地裁 平成22年12月22日判決
未公開株商法をするためには、「未公開株」「携帯電話」が必要であるが、それらの道具を提供した者も未公開株商法の「幇助」にあたり、
共同不法行為責任を負うとした事案。
証券問題
過大な株数を購入する場合の適合性の問題
大阪地裁 平成21年3月4日判決
初心者が熟慮なく大量もしくは多額の株式を購入した場合、証券外務員は購入株数が過大であると
購入者に指摘して再考を促すなどの指導助言を行なう義務を負うとした事案。
ロコ・ロンドン
ロコ・ロンドンの不法行為
札幌地裁 平成21年1月8日判決
ロコ・ロンドン取引は賭博にあたり、金融商品として組織的に勧誘・販売する行為は
不法行為に該当し、販売した法人が民法709条の不法行為を負うとした。
クレサラ・商工ローン・ヤミ金の金融関係
タクシーヤミ金の公序良俗違反
大阪高裁 平成20年7月10日判決
勤務先のタクシー会社の事務局長の紹介で借り入れしていた事案。
出資法5条1項の年利109.5%を下回る金利(84.49%年利)でさえ、
公序良俗違反による無効を認めている。貸付元金の返還請求でさえ不法原因給付
に該当するといって認めなかった。